高野山・霊宝館【登録無形文化財】
竣工年
- 1920年(大正9年)9月30日
(大宝蔵・1961年/昭和36年 竣工)
開館
- 1921年(大正10年)
建築様式(造り)
- 入母屋造
- 木造平屋(漆喰塗り)
- 一重1棟
※(紫雲殿)
- 切妻造
- 一重
屋根の造り
- 銅板葺
建築面積
- 226㎡
登録有形文化財指定年月日
- 1998年(平成10年)9月2日
設計者
- 大江新太郎
- 奥本吾市
発願者
- 高野山崇敬者
- 金剛峯寺
管理運営者
- 財団法人高野山文化財保存会
高野山・霊宝館の読み方
高野山・霊宝館「こうやさん れいほうかん」
高野山・霊宝館が開館した理由
あまり知られていませんが、実はこの霊宝館が開館したのには理由があり、1888年(明治21年)に高野山全体が火事に見舞われ、この際に宝物が一部焼けるなどして焼失しています。
そして2度とこのような火事を起こさないという誓いと共に、宝物を守るという意味合いで1921年(大正10年)に開館しています。
なお、この霊宝館は木造の博物館としては日本最古の歴史を有します。
高野山・霊宝館の観光所要時間(見学時間)
高野山・霊宝館の館内は純粋に館だけで構成されており、仏像や絵画が安置および展示されています。
館内はそれほど広くはありませんので、見学所要時間は人によりますが平均で約30分。1時間もあれば充分に見学が可能。
ただ、展示されるお宝に関しては「高野山中のレアな仏像や絵画」が不定期で入れ替わりますので、訪れる時期によって観ることができる仏像や絵画が異なります。
高野山・霊宝館の内部の構成と地図
霊宝館の内部は、3つの館が基本となって一般に開放されています。
画像引用先:高野山・霊宝館
紫雲殿
1998年(平成10年)に登録有形文化財の指定を受けた単層切妻造りの建造物です。紫雲殿のメインとなるのは「阿弥陀聖衆来迎図」です。この絵図には「紫雲に乗った25の菩薩」が描かれ、その両側には平清盛が高野山へ奉納した「血曼荼羅(ちまんだら)」が展示されています。
放光閣
放光閣には、かつて阿弥陀如来が御本尊として祀られていました。これは「光を放つ=放光」に由来するものです。
収蔵庫と廊下(中廊、南廊、北廊)
1961年(昭和36年)に大宝蔵が造営され、次いで1984年(昭和59年)、2003年(平成15年)にも収蔵庫が増築されています。
これにより高野山内の寺院の大半の宝物が現在、霊宝館に収蔵されています。
2017年現在では以下のような収蔵点数になります。
国宝21件
重要文化財147件
和歌山県指定文化財16件
重要美術品2件
合計182件・約2万8千点弱
未指定品を含め約5万点以上
また、館内にはグッズ販売店があります。
ここでは「お土産・グッズ」を買うことができます。
高野山・霊宝館のお土産・グッズの種類
一般:1,300円
高校生・大学生:800円(※学生証提示必要)
小学生・中学生:600円
その他の高野山・霊宝館の見どころ
シャクナゲ
高野山・霊宝館の敷地内には「シャクナゲ」と言うツツジ科の樹木が植生しています。
詳しくは霊宝館へ続く通路の両脇や、敷地内の至る所にシャクナゲが植生しています。
これらのシャクナゲは例年、4月下旬から5月下旬頃に見頃を迎えます。
そんなことから4月下旬から5月下旬以外の月日に訪れると、ただの草木にしか見えませんので多くの方がシャクナゲの存在に気づかずに通り過ぎてそのまま館内へ入っていきます。
シャクナゲが花を咲かせると「美しいビラビラのピンク色の花弁」を付けます。
高野山はどちらかと言うと全体が杉の木で覆われており、「花」と言うイメージがあまり感じられませんが、花を付けたシャクナゲが多ければ多いほど、ひときわ、その美しさが際立ちます。
霊宝館のシャクナゲが見てみたい方は是非!4月~5月頃を狙って訪れてみてください。
少し違った高野山の魅力に出会えるハズです。
ちなみに高野山内には、実はシャクナゲが多く自生しています。
代表的な場所として、金剛三昧院の境内でも、多くのシャクナゲを見ることができます。
尚、シャクナゲを観に来られる方は、事前に電話して開花状況などを聞いておくのが賢明です。
霊宝館の御朱印
この霊宝館では「紫雲殿」と書かれた御朱印を拝受することができます。
霊宝館の御朱印には中央に「ユ」と彫られた朱印が押印されていますが、この意味は弥勒菩薩を示す梵字となります。
大師は弟子たちに56億7000万年後に修行を終えた弥勒菩薩と共に、末法となった現世に蘇ると遺言を残しています。
これこそが大師の「弥勒浄土伝説」となり、これに由来した御朱印となります。
尚、博物館である霊宝館が御朱印を授与されている理由は、霊宝館が単なる博物館ではなく、仏と出会う場所、もしくは仏に心からの祈りを捧げる場所として位置づけられているからです。
年4回の企画展
この高野山霊宝館では、年におおむね4回、企画展が催されています。
特別展や常設展などが開催されており、各回、展示される仏像や宝物が変わります。霊宝館に訪れる際はなるべく、これら企画展や特別展が催されている期間にお越しください。
高野山・霊宝館の歴史
この高野山霊宝館は、なんと!大正時代に「宇治平等院(京都府宇治市)」を模して造営された建造物になります。
設計は、社寺建築の第一人者の故・大江新太郎氏と奥本吾市氏によるものです。
1920年 9月30日に竣工し、1921年 5月15日に開館し、初代館長として金剛峯寺座主・土宜法龍大僧正が就任しています。
以降、現在に至るまで館長は歴代座主が霊宝館館長を兼務しています。
当初は、紫雲殿を本殿として両脇に2つの建物が造営される予定でしたが、資金が足らなくなり、放光閣のみが造営されることになります。
1957年 9月16日に財団法人高野山文化財保存会が設立すると、その管理下に置かれることになります。
1961年 5月に高野山大宝蔵、1984年 4月2日には新収蔵庫が増築され、高野山内のほとんどの宝物群を収蔵できるようになります。
2005年 6月30日には、拝観受付所、事務所が新たに新設されています。
高野山には、開創(817年/弘仁8年頃)から伝承される数多くの仏像や絵画・古文書が収蔵されています。
これら偉人が残した仏像や絵画を未来永劫、有形のまま維持していくためには、保管する機関が必要となってきます。
そして保管するのにも資金が必要となり、浄財だけをアテにできないものがあります。
そこで、保管費用を拝観客に捻出してもらう代わりに、高野山中の寺院の仏像や絵画をお見せすると言う名目も兼ね、霊宝館が開館することになります。
2022年10月13日、霊宝館本館(放光閣)の修営工事が終了。
高野山・霊宝館の発足と建築様式(造り)
高野山・霊宝館は高野山開創1100年記念で企画された建造物です。京都の平等院鳳凰堂をモチーフとして、大江新太郎氏が設計した建造物です。
紫雲殿、放光閣、宝蔵(収蔵庫)の3つの建物を4つの廊下で連接しています。宝蔵のみが鉄筋コンクリート造りで残りはすべて木造建築です。
大江新太郎氏は日光東照宮の修復技師(内務省技師)として著名であり、他に明治神宮宝物殿も手がけた稀代の建築家です。
ただ、霊宝館は高野山の山頂に位置していることから、気候条件は予測がつきにくく、女心のように変動の激しいものがあります。
そこで「漆喰塗り」を木造の建屋を覆うようにコーティングしています。
霊宝館で展示されている仏像・絵画・古文書が入れかわる理由
霊宝館で展示されているものは一定していません。
すなわち、一定の時期がくれば展示されているものが変わります。
また期間限定で展示会が開催され、この展示会でのみ拝観できる仏像や仏画もあります。
これは高野山中の寺院に眠る「お宝(仏像・絵画・古文書)」を入れかわり展示しているからです。
いつも一定もの展示していたのでは、お客さんの足も遠のきますので、都度、入れかえることで新鮮味をアピールすることができます。
さらに、お客さんにも喜ばれ、保管する資金を無理なく調達できるといった相乗効果があります。
展示が終わった「お宝(仏像や絵画・古文書)」は館内(敷地内)の保管庫に安置されたり、各高野山内の寺院へ戻されたりします。
【補足】登録有形文化財とは?
「登録無形文化財」とは、文化庁が近年に差し掛かり策定した重要文化財に準ずる建造物保護法のことです。
登録無形文化財の多くは、明治時代から現代に至るまでに建造された建物が、多く指定されています。
しかし、これらの建物は耐震構造や建物の劣化などから、再建や取り壊される例がほとんどです。
そこで文化庁は、重要文化財に準ずる「登録無形文化財」を新たに発布(公布)しました。
登録無形文化財の発布の目的は、重要文化財に準ずるものとして、勝手な取り壊しが成されないように建造物を文化庁の管理下に置くと言うものです。
ただ、資金面での援助体制や優遇処置などが整備されていないため、現状では取り壊される建物も多く見受けられます。
・和歌山県における登録無形文化財数:約200件(2016年4月現在)
南海・高野山駅および諸堂から霊宝館へのアクセス(行き方)「バス・車」
南海りんかんバス
高野山・大門から「奥の院行き」へ乗車
↓
「千手院橋」下車
↓(徒歩:約10分)
霊宝館
南海りんかんバス
高野山駅・諸堂から「大門行き」へ乗車
↓
「霊宝館前」下車
↓(徒歩:約3分ほど)
霊宝館
車の場合
車の場合は、付近に駐車場があります。
- 駐車収容台数:約30台
霊宝館の概要
- 住所:和歌山県伊都郡高野町高野山306
- 営業時間:
【5月~10月】8:30~17:30
【11月~4月】8:30~17:00
※入館は各閉館時間の30分前まで - 定休日:年末年始のみ(※展示替による臨時休館あり)
- 公式サイト:https://www.koyasan.or.jp/
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