このページでは、高野山・金剛峯寺の中心的なエリアであり、高野山の二大聖地の1つとされ、古くから人々の信仰を集める「壇上伽藍」の歴史や見どころ、拝観情報、アクセスなどについて述べてい‥‥‥申す。グハっ
高野山・壇上伽藍の拝観時間(入場時間)
- 特になし(24時間)
壇上伽藍は365日24時間境内に入って参拝できるの?
壇上伽藍は、敷地内への入場はいつでも可能ですので、夜でも、早朝でも、建物の外から参拝することはできます。
出入口は、「蛇腹道(じゃばらみち)」または、「中門」です。
高野山内は、金剛峯寺や霊宝館など、一部スポットを除き、大体、境内(敷地内)の拝観は24時間自由となっています。
ただし、壇上伽藍では、以下でご紹介する通り、金堂と根本大塔の「内部拝観ができる時間」のみ、決まっています。
壇上伽藍の金堂・根本大塔「内部拝観時間」
- 金堂:8時30分~17時(最終入場16時45分まで)
- 大塔:8時30分~17時(最終入場16時15分まで)
関連記事:高野山 壇上伽藍「金堂(こんどう)」
関連記事:高野山 壇上伽藍「根本大塔」
高野山・壇上伽藍のライトアップ時間
- 日没後~翌早朝
金堂・根本大塔の内部拝観はできないものの、夜間でも境内に入ることができる壇上伽藍では、通年で主要な堂宇のライトアップが行われています。
昼間とはまた違った雰囲気の壇上伽藍も、ぜひお楽しみください。
高野山・壇上伽藍のお守り・御朱印の授与時間
- 通常:8時30分〜17時
- 大晦日(12月31日):8時30分〜翌1時頃
※大塔の鐘にて除夜の鐘つきがあるため延長
壇上伽藍のお守り・御朱印・御朱印帳は、佐野史郎の前にある
・・あ〜間違い!「高野四郎」!!、こと「大塔の鐘」の前にある御供所で授与されています。
関連記事:高野山(金剛峯寺・奥の院)お守りの「種類(限定)・ご利益(効果)値段・購入場所」をご紹介!
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高野山・壇上伽藍の初詣(年末年始・正月)の拝観時間
壇上伽藍への入場は、年末年始も24時間いつでも可能です。
また、金堂と大塔の内部拝観の時間も通常通り(8時30分~17時)です。
ただし、例年、12月28日~1月4日の間は、金堂と大塔の拝観料が無料になります。
また、12月31日(大晦日)には除夜の鐘が鳴らされ、一般の参拝者は参加はできないものの、見学することはできます。
ですので、除夜の鐘が鳴る時間の境内は、大変混雑します。
高野山・壇上伽藍の特別拝観の日程・時間
壇上伽藍には多くの建物がありますが、通常、内部が公開されているのは、金堂と根本大塔だけです。
しかし、時に、「西塔(さいとう)」の内部が特別公開されることがあります。
西塔の内部には御本尊「金剛界大日如来像」(重要文化財)と、本尊を守護する「胎蔵界四仏」が安置され、根本大塔と共に「立体曼荼羅」を表現しています。
西塔の特別公開は不定期・期間限定です。
最新情報は高野山公式ホームページの「お知らせ」でご確認ください。
壇上伽藍・西塔の過去の特別公開
- 2017年8月24日・9月3日、9時~16時 ※1日3回の特別解説会も実施
- 2021年度は6月2日(水)〜9日(月)まで実施
過去の開催実績
- 2017年、2015年、2013年
西塔内部の拝観は無料です。
関連記事:高野山 壇上伽藍「西塔(さいとう)」
金堂の秘仏・薬師如来像も特別公開がある・・?
なお、2015年4月~5月にかけては、高野山開創1200年記念の大法会が営まれ、金堂の御本尊・薬師如来像(秘仏)の特別開帳が行われました。
この薬師如来像は80年もの間厨子の中に安置され、秘仏とされており、次回の公開がいつになるかは、わかりません。
関連記事:高野山 壇上伽藍「金堂(こんどう)」
高野山・壇上伽藍の見学所要時間(滞在時間)
- 境内を一周しながら金堂・根本大塔の内部拝観+御朱印・お守り拝受:1時間~1時間30分
- 内部拝観なしで境内を一周:30分~40分
壇上伽藍の敷地内には、多数の見どころが集まっています。
多数の堂宇が密集しているため、境内の面積に対して所要時間は長めになります。
1つ1つの堂宇をしっかりと見学し、金堂と根本大塔の内部拝観もして、御朱印やお守りをいただく時間を考えると、1時間余りは確保しておきたいところです。
境内を一周しながら、雰囲気を味わう程度でしたら、所要時間は30分程度です。
※壇上伽藍の見どころ一覧は後述※
高野山・壇上伽藍の拝観料金(入場料)
壇上伽藍境内への入場料
- 無料
壇上伽藍の金堂・根本大塔「内部拝観料金」
- 金堂:200円
- 大塔:200円
壇上伽藍「西塔」特別公開の拝観料
- 無料
高野山・壇上伽藍(金堂・根本大塔)の割引情報
障がい者割引(拝観料免除)
- 障がい者手帳を持つ本人と付添人1名まで、拝観無料
山内共通券割引
高野山内の主要施設の入場券がセットになった「共通券」を所持していれば、少しお得に入場できます。
共通券料金
- 1枚2500円(中学生以上の販売)
利用できる施設:金剛峯寺(500円)、霊宝館(600円)、金堂(200円)、大師教会(500円)、徳川家霊台(200円)、大塔(200円)
すべて割引なし入場すれば2,200円になりますので、700円お得になります。
参与会 会員割引(拝観料免除)
参与会は、毎年開かれる研修会や、毎月発行される教報を通して、お大師様(空海)の教えを広げようという団体です。
年会費を納めて入会すると、参与袈裟と参与バッジが授与され、袈裟を着て参拝すると、金剛峯寺や壇上伽藍(金堂・根本大塔)を始めとする高野山各所の拝観が無料になります。
また、金剛峯寺参拝の際は、お線香や匂い袋といった記念品がいただけます。
- 参与会の年会費:正会員10,000円、家族会員5,000円
高野山・壇上伽藍のお得情報!「拝観料割引付き」乗り放題きっぷ!
高野山を訪れる方向けの電車・バスの乗り放題(フリー)チケットには、金剛峯寺・壇上伽藍を始め高野山の各スポットの拝観料割引や、飲食・お土産の割引の特典が付いているものがあります!
交通費と拝観料がダブルで安くなってお得ですので、ぜひ、忘れずにチェックしてください!
関連記事:高野山の「お得なチケット・割引券」 一覧
南海りんかんバスの1日乗り放題チケット割引
- 拝観料20%割引(金堂・根本大塔 各160円)
南海りんかんバスの1日乗り放題チケットを所持していると、2割引の割引券が付いています。
これを拝観窓口で提示することで、割引が適用になります。
他にも、飲食店や土産物店で割引などの優待が受けられます。
するっと関西「KANSAI THRU PASS/2日用と3日用」【外国人観光客向け】
- 拝観料20%割引(金堂・根本大塔 各160円)
外国人観光客向けに販売されている「KANSAI THRU PASS/2日用と3日用」を所持していると、金堂と根本大塔の拝観料が2割引きになります。
※詳細はKANSAI THRU PASS(スルっとKANSAI)公式ホームページでご確認ください。
高野山・世界遺産きっぷ
- 拝観料20%割引(金堂・根本大塔 各160円)
世界遺産きっぷは、南海電鉄の発売駅と高野山駅の往復割引乗車券と高野山内バスの2日間フリー乗車券がセットになったきっぷです。
さらに、金剛峯寺、金堂、根本大塔、霊宝館の拝観料20%割引や、土産物店・飲食店の10%割引が付いています。
世界遺産きっぷは、南海電鉄の各駅で購入できます。
高野山チケット(夏の関西1デイパス)
- 拝観料20%割引(金堂・根本大塔 各160円)
「夏の関西1デイパス」は、JR西日本・大阪水上バス・レンタサイクル駅りんくんの1日乗り放題と、「大原」「高野山」「赤目四十八滝」のいずれかのエリアへ行くための京阪、南海、近鉄(電車・バス)のチケットがセットになっています。
高野山へ行く場合には、JR・水上バス・レンタサイクルの基本セットに「高野山チケット」をプラスします。
すると、南海電鉄(往復)・南海りんかんバス(1日乗り放題)、さらに、上述の世界遺産きっぷと同じ、「拝観料20%割引」「お土産・飲食10%割引」の特典が付きます!
JR西日本ネット予約「e5489」や、対象エリア各駅の「みどりの券売機」で購入できます。
※夏の1デイパスということで、利用期間は6月~9月、販売期間は5月~9月に設定されています。
【補足】高野山その他の主要スポットの拝観時間・拝観料一覧
金剛峯寺や壇上伽藍を含め、拝観時間や拝観料が設定されている、高野山内の主要スポットをご紹介します。
金剛峯寺
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料
中学生以上:1,000円
小学生:300円
檀上伽藍の金堂・根本大塔
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料:中学生以上、各500円(小学生以下は無料)
霊宝館
- 拝観時間
5月 ~ 10月:午前8時30分 ~ 午後5時30分
11月 ~ 4月:午前8時30分 ~ 午後5時 - 拝観料
一般1,300円 高校・大学生800円 小・中学生600円
団体割引 20名以上 100円引き/1名
関連記事:高野山・霊宝館【登録無形文化財】
高野山大師教会
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料:無料 ※ギャラリーは別料金 ※授戒料500円
奉納写経実修料は1,500円
(般若心経写経用紙1巻・金剛峯寺名入り筆ペン・高野山お写経のてびきセット)
※2回目以降、金剛峯寺名入り筆ペン御持参の方は1,100円(奉納料・用紙代)
関連記事:高野山「大師教会本部」
徳川家霊台
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料:中学生以上200円/小学生以下は無料
女人堂
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料:無料
関連記事:高野山・女人堂(にょにんどう)
奥の院燈籠堂
- 拝観時間:8時30分~17時
- 拝観料:無料
ところで・・壇上伽藍とは?
壇上伽藍を読むときに見慣れない漢字が不自然に並んでいるので、読み方が難しく思えますが「壇上伽藍(だんじょうがらん)」と読みます。
読み方のコツとしては、「壇上(だんじょう)」と「伽藍(がらん)」との2つに分けて読むとわかりやすいです。
この壇上伽藍は、高野山・奥の院とともに、高野山の二大聖地の一つといわれています。
正式には、高野山全体を指す「金剛峯寺」の中心的伽藍になります。
壇上伽藍の「伽藍(がらん)」とは?
伽藍とは、僧侶が修行をする場所という意味で、由来はインドのサンスクリット語からきています。
サンスクリット語で「僧侶の修行場」と発すると「そうぎゃらんま(僧伽藍摩)」となり、略して僧伽藍や伽藍と呼ばれることに起因します。
また、高野山内では単に「伽藍」や「壇場伽藍(だんじょうがらん)」とも呼ばれています。
実は元来、「壇場伽藍」の方が正しい書き方のようなのですが、後世にて壇上伽藍の位置が一段上がった場所であることから、書く際も「壇上伽藍」と書かれるようになっています。
なお、「壇場」とは、大師が高野山を開創した際、高野山全体の様相を捉えて、金剛界・胎蔵界曼荼羅に例えていることから、高野山全体を「道場」という意味合いで「壇場」と付されています。
「壇上伽藍」の由来と意味
高野山の伽藍は、見た目はあまり気づきにくのですが、石段の上に伽藍が建立されています。
つまり、前述したように地面から少し高い位置に、伽藍の建物が建っているということになります。
これを伽藍と合わせ読むと、壇上にある伽藍という意味合いで「壇上伽藍」になります。
この壇上伽藍は、「胎蔵・金剛の両界曼荼羅(たいぞう・こんごう・りょうかいまんだら)」という大日如来が創造した世界観を大師・空海独自の発想で具現化したものだといわれます。
また、この壇上伽藍は弘法大師・空海が、この高野山を開山した後、真っ先に造営に取り組んだ場所だと伝わっています。
しかし、開山した当時の高野山には資金という資金がなく、大師・空海は、この伽藍の完成を見ることなくこの世を去ることになります。
えぇっ?!壇上伽藍の建造物は理由があって同一の方向を向いている??
壇上伽藍に訪れると建造物の威容さに圧倒され、多くの人が気づきにくいと思われますが、実はある1つの方向を向いています。
その方向とはどの方向かお分かりになりますでしょうか?
その方向とは「南側」になります。
壇上伽藍の思想的な中心となる建物は根本大塔ですが、建造物の配置に関しては金堂を中心に考えられています。
つまり金堂の正面が南側になりますので、それに倣い他の建造物も、ほぼ南側を向いて造営されています。
このことから壇上伽藍は南側が正面とされています。
南側が正面ということは中門が壇上伽藍の正面入口となりますが、実は2015年までは中門はなかったので、多くの参詣者は蛇腹道から壇上伽藍へ参詣していました。
しかし高野山開創1200年記念の記念事業において中門が再建され、2015年以降は中門をズカズカと通って晴々、壇上伽藍に参詣できるようになっています。
壇上伽藍が南側を向いているもう1つ理由
この高野山は麓に建つ慈尊院(じそんいん)から町石道を通って大門を経て壇上伽藍へ至ります。
通常の伽藍配置で例えると、大門は南大門にあたる門であり、その奥に中門、そしてその奥に本堂となる金堂が配置されます。
壇上伽藍の中門が通例の伽藍配置でいう中門であるならば、南大門にあたる大門とは正対して置かなければならず、さらに現在の壇上伽藍の本堂に位置付けられる金堂も並列状の配置になっていなければなりません。
ただ、この中門は大門とほぼ並列状の後方に建ちながら、大門とは正対しておらず、むしろ南側に間口が設けられ、南側を向いています。
さらに歪さを醸すのが大門と中門と金堂の位置関係図です。中門と金堂のみが南面を向き、大門は西側を向いており、通例の伽藍配置とは大きく配置が異なります。
高野山大学が行なった中門付近の発掘調査によれば、弘法大師空海が高野山を開創した当初の道が見つかり、当時の中門も現在と変わらずにほぼ同位置にあり、やはり中門は南側を向いていたようです。
これは往時の町石道も現在と同様、中門の前に見える大門から中門へ至る道路だったことを意味します。
しかしながら、往時は中門の前に町石道が通っていたものの、何せ中門の周りは池だったことから、町石道が現在の道路のように中門の向こうがまで延びず、ちょうど中門の前で屈折する形で中門の間口へ続いていたようです。
つまり、慈尊院から大門を経て中門を潜り抜け、壇上伽藍を拝し、その後、奥の院へ至ったことを意味します。
ちなみに中門の周囲に広がっていた往時の池の名残りとなるのが、現在、中門の脇に見える「蓮池」です。
往時の蓮池はもっと面積が広く、現在の勧学院ならびに大師教会のあたりまで広がっていたことも明らかにされています。
関連記事:高野山・壇上伽藍「蓮池(はすいけ)」
大師が現在地に壇上伽藍を開いた理由
現在の壇上伽藍は大師が開創した頃と同位置にあるものとされていますが、どうも大師が高野山を開創し、壇上伽藍を配置する場所を模索した時、現在地しか適した場所が見当たら無かったようです。
壇上伽藍という1つの境内(仏の世界)
壇上伽藍とは、弘法大師・空海が創造した仏の世界です。
ここに集まる1つ1つの建物をまとめて、壇上伽藍と呼びます。
以下では、壇上伽藍にある主要な建造物をご紹介いたします。
壇上伽藍の建造物(見どころ)・一覧
- 高野山 壇上伽藍・「蛇腹道(じゃばらみち)」
- 高野山 壇上伽藍・「東塔(とうとう)」
- 高野山・壇上伽藍「三昧堂(さんまいどう)」
- 高野山・壇上伽藍「西行桜(さいぎょうさくら)」
- 高野山 壇上伽藍・「大会堂(だいえどう)」
- 高野山 壇上伽藍「愛染堂(あいぜんどう)」
- 高野山 壇上伽藍・「大塔(多宝塔・根本大塔)」
- 壇上伽藍・御影堂(みえどう)
- 高野山 壇上伽藍「准胝堂」
- 高野山 壇上伽藍・「孔雀堂」
- 高野山 壇上伽藍・「西塔(さいとう)」
- 高野山 壇上伽藍・御社(みやしろ)
- 高野山・山王院(御社)
- 高野山 壇上伽藍・「三鈷の松(さんこのまつ)」
- 高野山・壇上伽藍「登天の松・杓子の芝」
- 高野山・壇上伽藍「六角経蔵(ろっかくきょうぞう)」
- 高野山 壇上伽藍・「金堂(こんどう)」
- 高野山 壇上伽藍「中門(ちゅうもん)」
- 高野山・壇上伽藍「中門(ちゅうもん)・仁王像」
- 高野山 壇上伽藍・「高野四郎(白鐘楼/大塔の鐘)」
- 高野山 壇上伽藍・不動堂(ふどうどう)
- 高野山 壇上伽藍「清瀧大権現社」と「阿字池」
- 高野山・壇上伽藍「蓮池(はすいけ)」
- 高野山・壇上伽藍「善女竜王社」
壇上伽藍の境内案内図と観光スポット一覧
【豆知識①】高野山の名前の由来
「高野山」と聞けば「高野山」という「山」があるのかと思ってしまうのですが、実は「高野山」という山は存在しないのです。
これがどういうことかと言いますと、現在の高野山の周辺は山々に囲まれています。
その山々とは「八葉の峰」と呼称される連山のことで、「八葉の峰」とは「今来峰、宝珠峰、鉢伏山、弁天岳、姑射山、転軸山、楊柳山、摩尼山」と呼称される8つの山のことを指します。
そしてこれら8つの山に囲まれた内側にできた盆地地帯を高野山と呼びます。
ちなみに「高野山」の名前の由来となったのは、「転軸山」「楊柳山」「摩尼山」の3つの霊峰を総称して「高野三山」と呼称し、これが高野山の名前の由来になっています。
また上述しておりますが、大師は高野山全体を「金剛峯寺(高野山 金剛峯寺)」と位置づけておられます。現在は金剛峯寺というお寺が存在しますが、本来は高野山全体が金剛峯寺になります。
【豆知識②】大師は高野山全体で金剛界と胎蔵界を表現していた?!
実は高野山霊宝館には「高野山蓮華曼荼羅図」と呼ばれる絵図が所蔵されています。この絵図によれば大師は以下のような構想を取り入れて高野山を開創したと考えられています。
- 壇上伽藍から奥の院までが➡️金剛界(こんごうかい)
- 慈尊院から壇上伽藍までが➡️胎蔵界(たいぞうかい)
「慈尊院」とは「じそんいん」と読み、大師・空海の母親である玉依御前(たまよりごぜん)が息子を想い、女人禁制の高野山において入山が許されなかったため、やむなく長年暮らした草庵(そうあん/=質素な住居)のことです。
やがて母ジャが亡くなった後、大師は弥勒仏と習合した母ジャの夢を見て、弥勒仏の別名である”慈尊”から名前を頂戴して、母ジャの菩提を弔うために「慈尊院」という寺院を母ジャが暮らした草庵を改装する形で建立することになるのです。
【豆知識③】高野町石は胎蔵界と金剛界とで分けて考えられていた??
現在では登山愛好家でなければなかなか知らない事実かも知れませんが、実は慈尊院から大門を経て壇上伽藍までの道のりは「町石道(ちょういしみち)」と呼ばれており、これは道中の約109メートルおきに目印となる番号が付された「町石」と呼ばれる石碑が建てられていることに由来した呼称です。
この町石は慈尊院から壇上伽藍まででトータル「180町石」存在し、ちょうど180町目が壇上伽藍の根本大塔の前になります。(町石に記された数字は慈尊院が180町目で壇上伽藍は1町)
慈尊院から壇上伽藍まで町石道が続く理由は、かつて高野山へ参拝する際、慈尊院前を流れる紀ノ川まで船で来訪して、そこからは歩いて慈尊院を経て→大門→壇上伽藍という流れで歩いたからです。
そして、実は180で終わりではないのです。・・なんと再び根本大塔を過ぎたあたりに「1町石」が立っているとすれば驚かれますでしょうか?
実はこの1町石は、ここから新たに奥の院の御廟(ごびょう)までの36ある町石のスタートを告げる石碑となるからです。
つまり、厳密には慈尊院から奥の院の御廟まで続いていることになりまする。
しかしここでこんな疑問が脳裏によぎりませんか?
”180”や”36”は何かに紐づいた数字なのか?
実はこれら180や36の数字は、金剛界と胎蔵界に存在する仏の数を表現したものだと考えられています。
- 金剛界▶️37尊(町石は36まで)
- 胎蔵界▶︎180尊
高野山に長期間滞在予定の方は是非!慈尊院から大門を経て壇上伽藍へ入り、そこから一の橋を経て中の橋→灯籠堂(御廟)へと歩んでみてください。
町石は36で金剛界の仏は37で1尊足らない理由
- 奥の院の御廟を入れて37とする説がある。
- 高野山全体を1と考えてカウントして37とする説がある。
なお、これら考え方は高野山独自のものです。
金剛界側と胎蔵界側とで町石道の「一町」の長さが違う!
気づいた方は少ないと思いますが、実は金剛界すなわち、「根本大塔→奥の院まで」の町石の1町の間の距離は約80メートルとされています。
胎蔵界(「慈尊院→根本大塔までの約109メートル」)と比べると30メートルも距離が違うことになります。
この理由はお分かりになりますかぃ?
実は深い意味はなく、昔の信奉者が胎蔵界と金剛界を表現するために、わざと無理やり合わしたそうです。
壇上伽藍に正式参拝方法がある?
前述したように、この壇上伽藍は大師の思想により、両界曼荼羅に位置付けられることから、伽藍内を右回りで参拝するのが良いとされています。(曼荼羅は東南西北となっている。インドの方角を基軸として描かれている)
具体的には、右肩を金堂内部に安置される御本尊へ向けて、そこから時計回りに回るのが良いとされています。
つまり、金堂から右回りという解釈です。
これは僧侶が袈裟から右肩を出していることに由来したものでもあり、仏教の右繞(うにょう)の礼法に則ったものでしょう。
高野山・壇上伽藍のINFO
壇上伽藍の住所
- 和歌山県伊都郡高野町高野山152
ホームページ(高野山金剛峯寺)
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