高野山に参拝すると、必ずといって出てくるのが「梵字(ぼんじ)」です。
堂舎の内部もそうですが、御朱印の墨書きも梵字が書かれていることがほとんどです。
以下では梵字についてご紹介しています。
高野山へ参拝に訪れる前の予備知識として、是非!梵字の意味と読み方を覚えてみてください。
梵字とは?
「梵字」とは「ぼんじ」と読み、これは「仏様を真言で表現した時の漢字での書き方」です。
「真言」とは密教特有の呪文のようなもので、梵字を音で表現したら真言になります。
これらの真言や梵字は古代インドのサンスクリット語が起源となります。
日本では古来、このような梵字1文字1文字に、霊験あらたかな霊力があると信じられ、神聖視されてきました。
話を戻しますが、密教で仏様を表現する時の真言を「種子」と呼称し、種子を梵字で表現したら「種字」と呼称されます。
すなわち種字とは梵字のことを指します。
以下では主要な仏様を表現する梵字と読み方をご紹介しています。
梵字・一覧
読み方 | 表す仏 | 梵字 |
---|---|---|
ア | 胎蔵界・大日如来 | |
アン | 普賢菩薩 | |
アーンク | 胎蔵界・大日如来 | |
カーン | 不動明王 | |
キリーク | 阿弥陀如来・千手観音・如意輪観音 | |
サ | 聖観音 | |
バイ | 薬師如来 | |
バク | 釈迦如来 | |
バン | 金剛界・大日如来 | |
ユ | 弥勒菩薩 | |
マン | 文殊菩薩 | |
サク | 勢至菩薩 | |
タラーク | 虚空蔵菩薩 |
梵字では同じ仏様を示す場合もある
疑問に思われたかもしれませんが、上記の阿弥陀如来・千手観音・如意輪観音は、同じ漢字で同じ読み方です。
中には同じ仏様を示す種子や梵字もあります。
また、胎蔵界・大日如来などは「ア」「アーンク」など、複数の種字や梵字が存在する場合もあります。
阿字観を修する時の「阿」の文字
大師が考案したとされる修法の1つに「阿字観(あじかん)」があります。
阿字観では「(阿)」と書かれた梵字「阿字」の前で瞑想します。
この「阿」は上述した通り、胎蔵界・大日如来を示す梵字になります。
禅宗では仏像などの前で座する「禅」になりますが、真言宗における瞑想は阿字観になり、「阿」と書かれた梵字の前で瞑想します。
禅は何も考えず、ひたすら無心で座りますが、真言宗は大日如来の世界(宇宙)と一体化するべく真理を追求しながら瞑想します。
【補足】「胎蔵界・大日如来」と「金剛界・大日如来」
日本の密教では大日如来は「胎蔵界(たいぞうかい)」と「金剛界(こんごうかい)」という2つ世界を持つと云われ、双方の世界に大日如来が存在しています。
胎蔵界は大日如来の慈悲を象徴する世界で、金剛界は大日如来の智慧を象徴する世界とされています。
胎蔵界は大日如来の”慈悲”を示し、「胎」は「母の胎内」を意味します。「万物の母=大日如来の愛をもって慈悲を授ける」という解釈になります。
金剛界は大日如来の”智慧”を示し、「金剛」は「何よりも固い」の意味があります。つまり「揺らぐことがない何よりも固い仏の知徳をもって、あらゆる煩悩を打ち砕く事」という解釈になります。
阿字観には実は種類がある
実は阿字観には種類があり、高野山では以下の2種類の阿字観を総称して阿字観と呼んでいます。
数息観
数息観とは、「すそくかん/すうそくかん」と読み、これは坐禅しながら、身内の静を捉えて息を数えながら瞑想する修法になります。
阿息観
阿息観とは「あそくかん」と読み、これは阿字観に至るまでの息を整えて集中力を高めたりするための修法です。
数息観との大きな違いは、「ア~~」などと声を出しながら瞑想し、大日如来の世界(宇宙)と一体化していきます。
阿字観をするための練習的な阿字観だと考えれば分かりやすいです。つまり阿息観の次のステップが阿字観になります。ウフ
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