「阿闍梨(あじゃり)」とは、サンスクリット語の規範を意味し、漢語では、師範とも表記しています。
そしてその意味は正しく教えを守って弟子たちの規範となり、「法を教える僧侶のこと」とされています。
もともとは、インドで生まれた宗教の規範を伝授する指導者のことを指していて、これが仏教に転用されるようになったものです。
教団によって、その内容は異なりますが、修行僧たちの規律を指導し、教義を伝授する高僧のことを阿闍梨といい、指導内容ごとに複数の阿闍梨がいたそうです。
現在では、職業上の資格の名称になっていて、高野山真言宗では一般の僧侶が持つべき最低限の資格とされています。
真言宗で僧侶や住職になるための方法
「得度(とくど)」と呼ばれる入門の儀式を受けた者は「僧侶」と呼ばれます。
この「得度」を受ける条件は、「学齢に達していること」なので、希望者は「師匠の僧(師僧)」から戒律を授けてもらうことで僧侶になれます。
しかし、寺の住職になるには、「四度加行(しどけぎょう)」を終えて、「阿闍梨」の地位を授けられると同時に「教師」という資格をとる必要があります。
そして「教師」になると僧階が与えられます。
僧階は、「教師試補」から「大僧正」まで16段階あります。
僧階の一覧
※16から1へ向かい位が高くなります。
- 大僧正(だいそうじょう)
- 権大僧正(ごんの だいそうじょう)
- 中僧正・僧正(ちゅうそうじょう・そうじょう)
- 権中僧正(ごんの ちゅうそうじょう)
- 少僧正(しょうそうじょう)
- 権少僧正(ごんの しょうそうじょう)
- 大僧都(だいそうづ)
- 権大僧都(ごんの だいそうづ)
- 中僧都・僧都(ちゅうそうづ・そうづ)
- 権中僧都(ごんの ちゅうそうづ)
- 少僧都(しょうそうづ)
- 権少僧都(ごんの しょうそうづ)
- 大律師(だいりっし)
- 中律師・律師(ちゅうりっし・りっし)
- 権律師(ごんの りっし)
- 教師試補
「教師」の資格は、真言宗の各本山が経営する学校を卒業、または修了が前提で認定されます。学校に行かない場合は検定試験を受けて取得することになります。
検定試験で「真言宗・教師」の資格を取得する方法
この場合は、特定の師僧について修行することから始めます。
その修行期間は年限が決められているわけではなく、「四度加行」を終了して師僧が認めてくれれば「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」という儀式と検定受験を本山に申請できます。
そして、受験に合格して資格を取得できます。
※伝法灌頂とは、密教において「師匠」の位を得ようと心する者が、大日如来から伝承される秘法を伝授する儀式のことです。
4つの「四度加行」の修法とは?
「四度加行(しどけぎょう)」には「十八道」、「金剛界(こんごうかい)」、「胎蔵界(たいぞうかい)」、「護摩(ごま)」の4つの修法があります。
ここで「加行」には、「行を反復するという意味」があります。
「十八道」は、18種類の手の形で表す「印」と、声に出して唱える「真言」を使う行のことです。
高野山・真言宗における「印」と「真言」
「金剛界」と「胎蔵界」は、それぞれ「金剛頂経(こんごうちょうきょう)」と「大日経(だいにちきょう)」という経典(きょうてん)で構成されている行法で、心理や悟りの境地を視覚的に表した「両部曼荼羅(りょうぶまんだら)/両界曼荼羅」にある、仏との一体化をめざしています。
これも「印」と「真言」で行います。
「護摩」は、仏との一体化を目的に行う修法で、護摩壇(ごまだん)の炉で火を燃やして一心に「真言」を唱えて「印」を結びます。
これら4つの修法を順番におよそ100日間、3回/日、行って「四度加行」は終わります。
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