高野山・壇上伽藍「六角経蔵(ろっかくきょうぞう)」
創建年
1159年(平治元年/平安時代)
再建年
1934年(昭和9年)
建築様式(造り)
二重六角造
鉄筋コンクリート造
大きさ
高さ:19.7m
横幅:六面一間(約2m)
発願者
美福門院
壇上伽藍 六角経蔵の読み方
「六角経蔵」は「ろっかくきょうぞう」と読みます。
六角経蔵の別名
別名で「荒川経蔵」ともいいます。
壇上伽藍 六角経蔵の歴史
高野山・壇上伽藍「六角経蔵」は「鳥羽法皇」の菩提(ぼだい)を弔うために、皇后の「美福門院(びふくもんいん)」が、1159年(平治元年)に建立した経蔵です。
経蔵とは「きょうぞう」と読み、お釈迦様の教えが凝縮された経典を収納しておくための蔵のようなものです。
美福門院は鳥羽法皇に心の底からバッキュ〜ン的にラブ♥だったようで、仏教にも大層な思い入れがあったようです。
そんなことから、なんと!自らの所領であった紀州(和歌山県)の「荒川の庄(あらかわのしょう/=安楽川荘(現在の紀の川市桃山町と打田町の一部)」を高野山へ寄進します。
さらにそれだけではなく、なんとぉぅ〜!「紺紙金泥一切経(こんしきんでいいっさいきょう)」という経典を1000巻も寄進しています。
なお、寄進した理由は「六角経蔵の維持費のため」とされています。
これらの事実から察することは、並々ならぬ思い入れがあったということです。
しかし翌年、美福門院は崩御(この世を去られ)されており、なんと!女人禁制が絶対の掟であった高野山に埋葬されています。
後にこのことは高野山では大きな問題として取り沙汰されたようです。
しかし一説には高野山の女人禁制が解かれた際の原動力の1つになったとも云われております。
ちなみに1159年と言えば平治の乱が勃発していた頃であり、おそらく乱を静めるための祈願の1つであったのかも知れません。
安土桃山時代
1591年(天正19年)には、高野山中興の祖として知られる「木食応其(もくじきおうご)上人」の発意にて大改修が実施され、堂内に本尊として「宝冠釈迦如来坐像【重文指定】」が安置されています。
昭和時代
1926年(大正15年/=昭和元年)12月26日に金堂で起きた失火によって、この六角経蔵にも類焼がおよび亡失しています。
よって、現在みることのできる六角経蔵は、1934年(昭和9年)2月に再建された姿になります。
壇上伽藍 六角経蔵の役割
この六角経蔵には、紫色をした紺紙(こんがみ)に、金箔を溶かした「金泥(きんでい)」で、丁寧かつ綺麗に書き写した数々のお経が納められています。
これらの経典を「」または、「美福門院経」とも呼称します。すなわち「一切経」のことです。
一切経とは、別名で「大蔵経」とも呼称し、お釈迦様の教えが凝縮された仏教聖典のことです。
また、上述したように美福門院経が持費を投じて紀州荒川(現在の那賀郡桃山町付近)の庄を寄進した故事に由来し、「荒川庄(荒川の地)」にちなんで「荒川経」とも呼ばるようになってい‥‥‥申す。
この堂が別名で「荒川経蔵」とも呼ばれる理由はここにありまする。
なお、この「紺紙金泥一切経」は重要文化財の指定を受けており、現在は高野山霊宝館に収蔵されています。
関連記事:高野山・霊宝館【登録無形文化財】
六角経蔵は回転した!!
実は、この六角経蔵は、経蔵の基壇付近(少し高くなっている基礎の上付近)に把手があって、なんとぉぅぉぅ~!!時計廻りに回転させることができます!!
こんな大きいものを・・と考えてしまいますが、実は意外と簡単に動かすことができます。(少し力が入ります)
古くは、蔵全体が回転したので結構な力が必要だったそうですが、現在は把手のついている部分だけが回る構造になっているため、比較的、簡単に回転させやすくなっています。
六角経蔵のご利益
この六角経蔵をうまく回転させて、一周できると「一切経」を一通り読経した功徳が得られるそうです。
見ず知らずの観光客同士が協力して回転させてみるのは、良い思い出になるかもしれません。
六角経蔵の建築構造と大きさ(高さ)
六角経蔵の構造
- 六角六面二層
六角経蔵の高さ
- 19.7mの六角錐
この六角経蔵は建物自体が均整がとれて大変美しい塔です。
しかし、過去に何度も火災で焼失しており、防火対策のため、現在は鉄筋コンクリート造の骨組みとなっています。
少し残念な気持ちになりますが、部分的に木造の木組を取り入れることによって創建年当初の様式を今に伝えています。
壇上伽藍 六角経蔵の場所(地図)
六角経蔵は中門から入って金堂の左脇、蛇腹道から入って金堂の奥に位置します。
壇上伽藍の見どころ一覧
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