高野山 壇上伽藍「三鈷の松」
- 樹高:約15m
- 樹齢:約200年
- 松の種類:中国原産のシロマツ(白松/はくしょう)
「三鈷の松」の読み方
さんこ(三鈷)のまつ(松)
高野山 壇上伽藍「三鈷の松」とは?
壇上伽藍・御供所によれば、現在の三鈷の木は樹高約15メ―トルを有した中国原産の白松(はくしょう)とのこと。通称「シロマツ」。オホ
残念ながらこの松は後述の大師の故事に登場する「三鈷の松」ではなく、約200年前に植栽されたマツとののこと。
ただ、古くから壇上伽藍には同様の松の木が植えられており、伝承の話と交差する部分があるとのこと。
白松は分布図でいえば、中国大陸の陝西省、四川省、甘粛省を中心とした中西部の山岳地帯に広く分布する。つまり、純・中国原産なので株の累代は皆無と考えるのが自然。
最大樹高30mにまで達し、寿命は300年から1300年とマツの中では比較的長寿な種類とされる。
不思議なことにアジア圏では神聖視される面があり、寺院などで植栽される姿が散見される。
高野山 壇上伽藍「三鈷の松」の名前の由来とは?
飛行三鈷杵が「三鈷の松」の名前の由来のキッカケ!
三鈷の松の「三鈷」とは、大師・空海が肌身離さず所持していた「飛行三鈷杵(ひぎょうのさんこしょ)」と呼ばれる密教法具の「三鈷」から由来がきているとされます。
空海は、自らの仏道においての答えを探すべく、中国・唐へ渡りました。
唐では、生涯の師とも言うべき「恵果(えか)」と出会います。
そして、修行を重ねた末、師の「恵果」から、次代のお役目と、その証である密教法具の「諸尊仏龕」や「三鈷杵」を授かりました。
関連記事:高野山(金剛峯寺所蔵)・諸尊仏龕【国宝】
いよいよ日本へ帰国することとなった空海は、あることを考えていました。
それは、仏の世界を具現化した「伽藍」を造りたいと考えていたのです。
そこで空海は、その伽藍を建立する場所に関して、仏の意志を仰ぐため自らが持つ、法具・三鈷杵を空へ向かって投げました。
すると・・なんと!
空海が投げた法具は東の空の彼方へと、まるで貴方と別れたあの日の朝焼けを見るかのように、大空の彼方へと飲み込まれるようにと消えていったと伝わる。(このことから「飛行三鈷杵」とも呼ばれる)
「三鈷の松」の名称の誕生
その後、空海は自らの意志によって伽藍を開創する場所を探すことになりますが、空海が決めた地は「高野山」でした。(一説には「狩場明神(かりばみょうじん)」の勧めにより決めたとも)
そして、いざ、空海が高野山に入ると、なんと!驚くことに空海が投げた法具が、松の木の枝に引っかかっていたのだった。
以来、空海の法具がひっかかっていたこの松の木は、空海と高野山の地を結びつけた木として敬われ、「三鈷の松」と呼ばれるようになった。
現在もこの松の木は、この壇上伽藍の根本大塔の前で大切にお祀りされています。
飛行三鈷杵の話はフィクション!
なお、上述、飛行三鈷杵が空を飛んでいったというのはフィクションです。
室町時代後期以降になると大師信仰が盛んになり、大師にまつわる様々な逸話が誕生していますが、この飛行三鈷杵が空を飛んだ話もその一端が垣間見える箇所と捉えるべきです。
「三鈷杵」とは?
三鈷杵は正式には「金剛杵(こんごうしょ)」と呼ばれるものです。
ただ、金剛杵は三鈷杵以外にも「五鈷杵(ごこしょ)」や「独鈷杵(どっこしょ)」と呼ばれる種類のものもあり、これらは呼称によって形状が異なりまする。
例えば、独鈷杵というのは「独」と名前が付されるように三鈷杵のように棒のような形状をしています。
対して三鈷杵は3本のツノのような突起があります。(それゆえ”三鈷杵”と呼ばれる)
三鈷杵の詳細については下記ページをご覧ください。
三鈷の松の葉が3枚あることが「三鈷の松」とも!
上述したように、この三鈷の松は、松の木の種類としては珍しく「3枚葉」を生やす松であることから三鈷の松と呼ばれるようになっていまする。(通例の松の葉は2葉か5葉)
「三鈷杵」は上掲画像をご覧になれば分かるように「3つに割れたツノのような形状」をしていることが名前の由来となっており、これに通じるものがあるとして、”三鈷の松”と呼ばれるようになったという見解もありまする。
3つ葉を持つ「三鈷の松の葉」がお守り?!
高野山では、参拝に来られて帰られる方々に、この「三鈷の松の葉」をお守り代わりとして配布されています。(いただく場合は要問合せ)
この三鈷の松から実る葉は摩訶不思議なことになんと!葉先が3つに枝分かれしています。(通常の松は2本)
⬆️3つ葉になっているのがお分かりいただけるだろうか。(刈萱堂でいただいたもの。たくさんの松をありがとうございました。)
「三鈷の松の葉」のご利益
無事に家に帰りつくことができる!
この三鈷の松の葉をお守りとして肌身に持つことで、高野山からの帰り道、何事もなく無事に家族の待つ家まで必ず帰れるんだとか。
これもきっと上述、大師が投げた飛行三鈷杵が引っかかったマツの伝承にアヤかったものなのでしょう。
実際、大師は中国から無事に日本へ帰朝し、飛行三鈷杵と松の木を見つけ、その場所に高野山を開創したのですから。オホっ
多幸招来
なんでも、針葉3本の「三つ葉」を見つけること自体が幸運という見方もあり、「四つ葉のクローバー」と同様、肌見守りとして持つことで「幸せになれる」という俗信があるようです。
肌見守りにする際はワタクシめのように、チャック付きのぶ厚めビニール袋に入れるのも良し。
高野山 壇上伽藍「三鈷の松」の場所(地図)
高野山 壇上伽藍「三鈷の松」は中門から入って金堂の左奥、御影堂と准胝堂の前に位置します。
壇上伽藍の見どころ一覧
関連記事一覧
壇上伽藍までのアクセス方法については以下のページでご紹介しています。
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