高野山「大師教会本部」
創建年
- 1925年(大正14年)※大講堂
- 1982年(昭和57年)※教化道場
建築様式(造り)
- 入母屋造り
- 正面唐破風付き
御本尊
- 弘法大師像
脇侍
- 愛染明王
- 不動明王
法要
- 宗祖降誕会
高野山・大師教会本部の読み方
「大師教会」は「だいしきょうかいほんぶ」と読みます。
「大師教会」の正式名
正式には、「高野山大師教会本部・高野山教化研修道場」とも呼称します。
高野山・大師教会本部の歴史・由来
高野山・大師教会本部は高野山開創1100年祈念事業の一環として、1925年(大正14年)の造営されています。
大師教会本部の敷地には「大講堂」と「教化研修道場」の2つがあります。
大師教会「大講堂」
創建年
- 1925年(大正14年)
建築様式(造り)
- 入母屋造り
- 正面唐破風付き
大きさ
- 横幅:約20メートル
- 奥行き:約45メートル
- 坪面積:167坪
建築様式(造り)
- 入母屋造り
屋根の造り
- 総檜皮葺き
御本尊
- 弘法大師像
脇侍
- 愛染明王
- 不動明王
法要
- 宗祖降誕会
大師教会・大講堂の歴史
なお、この大講堂は1925年(大正14年)の「高野山開創1000年記念」を祈念して造営された建造物となります。
大講堂の見どころ
弘法大師像
御本尊「弘法大師像」は、極彩色が施された坐像の尊容をしています。離れた位置からした拝観できませんので、身長体格ともに人間に似せたサイズであることから、本当に大師が座しておられるのかと勘違いするほどです。思わずドキっとドキドキ・ドキンちゃんしちゃいます。
弘法大師行状図絵
また大講堂内部には弘法大師・空海の生涯を描いた絵図「弘法大師行状図絵」26枚が堂内壁面の欄間に展示されています。
上⬆️の写真は26枚あるうちの”11枚目(11番)”。大師が40歳のときを示した絵図です。関係ありませんが、絵図下の雲模様の透かし彫りの上に三鈷杵の金飾りが据えられた時計が見事!..くれ
大講堂で体験できること
大講堂には「授戒堂」と呼称される堂舎が存在し、この授戒堂では一般の方向けの「授戒体験」をすることができます。
大師教会「教化研修道場」
創建年
- 1982年(昭和57年)
建築様式(造り)
- 入母屋造り
大師教会本部(教化研修道場)の見どころ
「高野山開創1200年記念」伝道バッチ
大師教会に参拝された方限定で「伝道バッチ」を授与していただけます。
このバッチを付けて壇上伽藍の金堂へ参拝すると、より一層霊験あらたかな薬師如来のご利益を授かることができるようです。
薬師如来に通じた色が「紫色」であることから、バッチ中央にデザインされた密教法具「三鈷杵(さんこしょ)」も紫色で描かれ、その上、ご祈祷されたバッチとなります。
- 値段:500円
飛行三鈷杵の模型
今から約1200年前、大師・空海ははるか中国・長安の都「青龍寺(せいいりゅうじ)」にて師僧となる「恵果(けいか)」に密教の後継者に指名され、代々受け継がれてきた密教法具を授かります。
その密教法具のうち「三鈷杵」を手に持ち「日本で布教するための最適な中心地を教えたまえ」と念じ、大空へ向かって投げたそうです。すると三鈷杵は落下せずに大空を駆け巡り、最終的に高野山の松の木の枝に引っかかっていたことから、大師は高野山に密教の伽藍(壇上伽藍)を開創する運びとなります。
後にこの三鈷杵は特別に「飛行三鈷杵」と呼ばれますが、その飛行三鈷杵の模型がこの教化研修道場の出入口のエントランスに展示されています。
大師教会本部(教化研修道場)で体験できること
授戒(受戒)
「授戒」とは「じゅかい」と読み、「戒律を授かる」と言う意味合いになります。
この戒律とは仏教の「菩薩十善戒(ぼさつじゅうぜんかい)」を意味し、「十の戒律を守る誓い」をたてます。
一般的な菩薩十善戒
- 不殺生=無駄に生物を殺さない
- 不偸盗=盗みをしない
- 不邪淫=不倫などをしない
- 不妄語=嘘をつかない
- 不綺語=本音で物事を語る
- 不悪口=悪口や乱暴な物言いを慎む
- 不両舌=他者を争わせるような物言いを慎む
- 不慳貪=あらゆる欲を戒める
- 不瞋恚=常軌を逸して怒らない
- 不邪見=物事を多角的に捉えて発言をする
ちなみに「授戒」は「受戒」とも書く事ができ、いずれも似たような意味合いになりますが、実はこの2つは似て非なるものがあります。
「授戒」とは、高僧や師匠となる僧侶からが「戒律を授かる」ことです。
つまり授戒を受ける側からすれば「弟子入りする」と言う意味合いがあります。
「受戒」とは、「授戒を受ける側」からの言葉になります。
すなわち上記の弟子側の立場の者が使用する言葉です。
発音は一緒ですが、文字に表すと微妙に異なることから分かります。
このように言葉を使い分ける点からも、それだけ「尊い教えを受けているのだぞ」と言う実感がわきます。
「得度」
その他にも「授戒」や「受戒」と似たような意味を持つ言葉に「得度(とくど)」と言う言葉がありますが、得度とは僧侶になることです。
出家して寺院の門を叩き、得度を受けて僧侶になります。
僧侶になった後に「師匠から授戒を授かり」、自らは「戒律を受戒する」と言う解釈になります。
意味合いは同じように感じますが、少し違うことに気づきます。
高野山大師教会で行われる受戒体験は、「わずかなロウソクの火が灯る暗い部屋」の中に座して、阿闍梨(高僧)の言葉を聞きながら瞑想します。
心身が落ち着き日常の喧騒を忘れることができます。
受戒体験の概要
受戒体験の料金:1回500円
体験ができる時間:朝9時から夕方16時までの1時間毎
受戒体験の所要時間:約30分
予約方法:当日の10分前までに直接大師教会本部で受付
尚、授戒体験後には、受戒した証として「菩薩戒牒のお守り」を授かることができます。
写経
教会本部の教化研修道場では一般の方を対象にした「写経」も体験することが可能です。
写経は「しゃきょう」と読みます。
写経とは、煩悩を捨て去り、身の内の「静」を捉えて「経典」を無心に書き写すことです。
大師教会本部には写経するための部屋が備わっており、ここで写経を体験することができます。
おおよそ600巻もある般若心経の経典の内、わずか300文字程度を抜粋した経典を書き写していきます。
心に雑念が生じ、集中力が途絶えると間違いや字体が歪みます。
写経体験の概要
所要時間:約1時間30分
料金:
用紙代100円、写経セットは500円、写経を院御廟前へ奉納する場合は1000円
写経ができる時間:朝8時30分から15時まで
写経体験ができる日:毎日(不可能日もあり)
定員:30名まで
その他の大師教会本部の見どころ
大師教会の御朱印
高野山・大師教会本部ではオリジナルの御朱印をいただくことができます。
中央に梵字「遍照尊」と墨書きされた御朱印です。
ちなみに遍照尊の「遍照」とは、「遍照金剛」を指し示す言葉です。これは大師・空海が師匠である「恵果(けいか)」から授かったもう1つの名前のことです。
”遍照”とは、”仏の慈悲は果てまで及ぶ”の意味があります。
- 御朱印の値段:300円
- 御朱印の授与場所:教化研修道場にある寺務所
なお、こ寺務所では、一般の方を対象とした授戒の受付もされています。
宗祖降誕会(青葉まつり)
例年、6月第2土曜日(2020年は6月14日)の午前9時から金剛峯寺の法要である「宗祖降誕会(しゅうそこうたんえ)」が大師教会本部・大講堂で営まれます。
このお祭りは一般的には「青葉まつり」の名前で通っており、金剛峯寺だけではなく高野山を代表する大祭でもあります。
「宗祖降誕会」とは、高野山の開祖であり宗祖でもある弘法大師・空海の誕生を祝う祭りです。
お昼の12時から奥の院手前の「一の橋口」から子供の頃のおカッパ頭の弘法大師像を乗せた「花御堂」が金剛峯寺前まで巡幸します。
花御堂だけではなく、「町民の行列」や町民が制作した「ねぶた」や「山車」なども加わり、和やかと言うよりは賑わいを見せる祭りです。
宗祖降誕会を見学されたい方は是非!6月15日を狙って高野山へ訪れてみてください。
大師教会の敷地から空海が創建した当初の屋根瓦が見つかった?!
実はこの大師教会の教化道場の再建工事(1982年(昭和57年))の折、空海が建てた頃(平安時代)の屋根瓦の破片が見つかっています。
さらにこの瓦、ただの瓦ではなく、寄進者の名前やシンボルとなる文字が記された「文字瓦」と呼ばれるものだったようです。
この事実をもって創建当初の大師教会の前身となる建物の屋根が瓦葺であったことが明らかにされています。
同時に付近の壇上伽藍の堂塔建造物群も瓦葺きであったという説が浮上しています。
高野山 大師教会の入場料金・営業時間・定休日
入場料金(拝観料金):無料
営業時間:8時30分から17時まで
定休日:年中無休
高野山・大師教会への場所(行き方)
「高野山ケーブル・高野山駅」から「南海りんかんバス・大門行き」へ乗車し「霊宝館前バス停」で下車し、徒歩約30秒。高野山駅からの総計所要時間は約13分です。
もしくは「金剛峯寺前バス停」で下車して徒歩約3分ほど。金剛峯寺からは徒歩約5分で到着できます。
高野山大師教会本部へのアクセス地図
高野山・大師教会へのお問い合わせ先「住所・電話番号・営業時間・定休日」
住所:〒648-0211 和歌山県伊都郡 高野町高野山347
電話番号:0736-56-2015
駐車場:81台(金剛峯寺の駐車場)
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